2015年10月末に難航していたTPPが大筋合意に達し、成立・施行に向けて大きな前進を遂げました。国内外でTPPの参加・不参加をめぐって様々な意見が噴出していますが、現状のままTPPに参加を果たすと、どのようなメリット・デメリットが考えられているのでしょうか。

今回はTPPに参加した場合に考えられるメリット・デメリットを見てみましょう。

抑えておきたいTPPのポイント

TPPとは環太平洋地域の各国間の経済の自由化を目的とした多角的なEPA(Economic Partnership Agreement = 経済連携協定)であり、2011年に公表された拡大交渉の大筋合意の中では、

  • 包括的な市場アクセス(関税その他の非関税障壁を撤廃)
  • 地域全域にまたがる協定(TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進)
  • 分野横断的な貿易課題(TPPに以下を取り込みAPEC等での作業を発展させる)
    • 規制制度間の整合性:参加国間の貿易を継ぎ目のない効率的なものとする
    • 競争力及びビジネス円滑化:地域の経済統合と雇用を促進する
    • 中小企業:中小企業による国際的な取引の促進と貿易協定利用を支援
    • 開発:TPPの効果的な履行支援等により、参加国の経済発展上の優先課題が前進
  • 新たな貿易課題:革新的分野の製品・サービスの貿易・投資を促進し、競争的なビジネス環境を確保

の8つを「重要な特徴」としてあげています。
ざっくりとまとめると、TPPに参加している国同士での関税や特許などの貿易障壁をできるだけなくして、自由貿易を促進することでTPPに参加している国同士での貿易を活発にしましょう、と言うのが主な趣旨と言えるでしょう。

TPPの対象となる産業やサービスは21種類と多岐に渡りますが、特に重要視されていたのが農作物の輸出入や知的財産の保護規定でしたが、これらの項目は度重なる交渉の結果、当初案よりも日本にとって有利な内容になったと言われています。

TPP参加で想定されるメリット・デメリット

では、TPP参加によって考えられているメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれ見てみましょう。

参加によるメリット

TPPとは突き詰めれば「自由貿易の促進」を大目標としているため、TPP参加によるメリットを最も受けるのは、輸出者と最終的に商品を手にする消費者になります。
実際のメリットとしては、消費者にとっては従来よりも高品質の商品を、より安価に入手できる期待が大きくなることがあげられます。輸出者にとっては自由貿易の促進により高品質と言われている日本製品の輸出額が大きくなることで、業績の上振れ期待が生まれます。グローバル化の促進により10年間で2.7兆円ものGDPが生まれるとの予測もあり、国内の多くの企業・消費者にとってはメリットのほうが大きいと言えそうです。

参加によるデメリット

では逆に、グローバル化による恩恵を受けられる輸出者や消費者以外にはどのような影響があるのでしょうか。
特にTPPに強く反対していた農産業への影響を見てみると、大規模農業による効率化を突き詰めている米国産の安価な農作物の輸入増大によって、国内農産業が危機に陥る可能性や、食品添加物や遺伝子組み換え食品などの利用に関する規制緩和により、いわゆる「食の安全」が脅かされる懸念が指摘されています。この他、投資受入国の協定違反により投資家が受けた損害を金銭などにより賠償する「ISD条項(ISDS条項)」や、一度合意した内容は後々の変更は受け付けないとする「ラチェット条項」など、アメリカに有利なEPAになっているとの意見も出ています。

おわりに

このようにメリット・デメリットともに影響が大きいと言われているTPPですが、その内容についてはこれから国内法の制定・施行など、修正する余地はいくらか残されています。その動向を注視したいものですね。