世界でも注目されるEPA(Economic Partnership Agreement = 経済連携協定)の1つであるTPPが難航の末、2015年10月に大筋合意までこぎつけ、成立・発行に向けて大きく前進しました。
今後の国内法の制定・施行など、様々なハードルは残されているものの、日本がTPPに参加することは既に決定的であり、どのように取り組むかが今後のポイントとなります。

そこで今回は、TPP参加にともなって予想される日本特有の問題点についてまとめてみました。

そもそもTPPとはなにか

大前提として、TPPとはどのような協定なのでしょうか。
TPPとは、「加盟各国間の自由貿易の促進」を最大の目標として、関税障壁の撤廃や貿易課題の解消を目的とする5つの重要な目標を掲げ、その達成に向けて努力することを約束した世界でも注目されているEPAの1つです。2006年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国の間で調印・発行されたP4協定を原協定として、2008年のアメリカ・オーストラリアの参加表明を皮切りに、2015年11月時点では環太平洋の13カ国が参加する大規模なEPAとなっています。

想定される主なTPPのデメリット

このように自由貿易を推進するためのEPAですが、自由貿易特有の問題点も指摘されていて、特に農産業や知的財産、医療などの分野でのデメリットが大きいものとしてあげられています。
それぞれの内容を見てみましょう。

1. 安価な海外製品の流入によってデフレが引き起こされる

関税障壁の撤廃などにより輸出主体の産業や消費者は大きな恩恵を受けることが予想されますが、反対に輸入を主としている産業は、安価な海外製品に押されて現在以上の苦境に陥ることが予想されます。

2. 関税の撤廃により米国などから安価な農作物が流入することで国内の農産業に大きな影響がある

専業農家が主役で広大な農地で機械力を活用して工業製品を作るように農作物を大規模に生産することでコスト的に極めて強いアメリカの農産業に比べて、高齢の零細農家や兼業農家が主役で細切れの農地で手作業主体で細々と生産した作物を農協に買い取ってもらうため、コスト的に不利な構造にある日本の農産業は、壊滅の危機にひんしていると言われています。ごく一部では大規模化や機械化などの対策を取り入れつつあるようですが、現状のままでは日本の農産業に対して大きな影響があることは確実と言われています。

3. 食品に関する各種の規制緩和で食の安全が脅かされる

日本の食品安全基準は度重なる事件や事故、消費者意識の向上により世界でも有数の厳しさで知られていますが、海外企業にとっては厳格な食品安全基準は明確な参入障壁となっています。このため、TPP参加により食品安全基準が緩和されると、海外企業の参入とともに食の安全が大きく脅かされるとも言われています。

4. 医療自由化による保険の圧迫や医療格差の拡大の懸念。

現在の日本の医療制度では、公的保険の適用される保険診療と適用されない保険外診療を同時に受診する「混合診療」の禁止をはじめとして、欧米各国に比べると医療制度の面では遅れている部分が多いとされています。
TPPに参加することで医療分野での大幅な改革を迫られることとなりますが、特に米国では公的保険がないことなどから難病でも先端医療を安価に受けられる富裕層と風邪などのありふれた病気でも数千ドルの医療費がかかる貧民層の間で医療格差が大きくなっていることが大きな社会問題と言われています。
既に各種公的保険がある日本ではここまで極端な例はないと言われていますが、既に医療崩壊が叫ばれている現状を鑑みると、医療分野では害のほうが多くなると言われています。

おわりに

TPP参加による各種国内産業への影響は大きなものがあると言われていますが、実際にどのような影響があるかはTPPが成立・発行するまでは何ともいえないところです。
今後はTPPに関連する各種国内法の整備・施行があるため、影響の大きい分野にとってはこれからが正念場と言えそうです。